あらゆる冒険譚に共通する要素を留学計画に盛り込んでみよう

あらゆる冒険譚に共通する要素を留学計画に盛り込んでみよう

胸躍るような物語に出会ったことはあるだろうか。あなたの留学計画もそのようなものであるべきだ。異国への旅立ちと戸惑い、大きな試練と勝利。獲得した能力や経験はその後もあなたを支える大事な武器だ。

この連載について

この記事は「留学計画を、物語のように作ろう」という連載の中の一部です。胸躍るような物語、不朽の名作として語り継がれるシナリオ、それらの多くに共通する構造を読み取ることを文学の中でも物語構造論と言います。桃太郎もハリーポッターもスターウォーズも皆共通する構造を持っているのです。ハリウッドやディズニーのシナリオライターも活用する考え方を、私はキャリアや留学計画に応用する考え方「物語理論」として提唱しこれまで1000名以上に伝えてきました(中央経済社より書籍にもなっています)。

留学計画に悩んでいる人、いまある留学計画をもっと良いものにしたい人、出来上がった留学計画をもっと多くの人に響くものにしたい人は是非この連載を読み進めてみてください。きっとその悩みに応えるアドバイスがたくさん見つかるはずです。さあ、それでは始めていきましょう。

(ちなみに作った物語を人に伝えるときのために「TEDトークから学ぶ、人に伝わる留学計画」と題した連載を並行して行っていきます。是非御覧ください)

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連載「留学計画を、物語のように作ろう」
vol.1面白い物語には「テーマ」がある:留学計画の全ての始まりを話そう
vol.2あなたの物語(留学)に「求めてやまないもの」はあるか?
vol.3あなたの留学計画が退屈で平凡なのは「両極の対立」が含まれていないからだ
vol.4英雄流離譚(Hero's Journey)と留学計画:あなたは行きつ戻りつ何を得るのか?
vol.5あらゆる冒険譚に共通する要素を留学計画に盛り込んでみよう
vol.6内面の旅としての留学-何が出来るかではなく、何を良しとするかの変化を生もう
vol.7留学計画:あなたは「求めるもの」「動き」「障害」「選択」の組合せで出来ている
vol.8あなたの留学計画のログラインとシノプシスを教えてください
vol.9ボードビル(上演演目の順序決め)とあなたの留学計画の伝え方

 

面白い物語が持つ12のステージ

前回の記事でお伝えした通り、面白い物語は12のステージをたどることが多い。不満の多い現状は否応なく破壊され、主人公は異世界へと足を踏み入れなくてはならない。幾つもの試練を越えて-その間には恩師の含蓄ある言葉、友との協力、新たな能力の獲得が行われる-宝を手に入れ帰還する。最初にあった不満は解消されるか、新たな形となって次の旅を予感させる。

これを1つずつ留学計画に沿うような形でアレンジして紹介したい。様々な留学も後から振り返ると近い類型に当てはまるものと思われる。

英雄流離譚(Hero’s Journey)と留学計画:あなたは行きつ戻りつ何を得るのか?

1.日常世界
まず物語は主人公が元々いる場所の描写から始まる。主人公はそこにある価値観に疑問を抱いていたり、ストレスを覚えている。
→これはあなたがいまいる社会になります。留学計画とは、いまいる場所では手に入れることの出来ないものを手に入れる計画です。自分が持っている不満、不安、ほしいものなどを説明するために日常世界=現状についての説明が必要です。

2.冒険への誘い
何か新しいチャレンジが舞い降りる。
→留学計画の契機です。例えば「そのイベントで私は初めてアメリカで活発に行われている○○という活動を知ることが出来ました」など、留学を志すきっかけを提示する必要があります。

3.冒険の拒否
最初は未知の挑戦に尻込みして、主人公はそれを断る。
→ここは無い人もいるかもしれませんが、どんな物語も主人公(や、あるいは他の側面のメタファーとしての家族)が異世界への冒険を嫌がることはよくあります。やってみたいけれど不安、怖い、うまくいくか心配というケースですね。

4.賢者との出会い
主人公に教えをくれる人が現れる。
→これは賢者とは書いていますがもしかしたら友人かもしれませんし、大学の先輩かもしれませんし、偶然読んだ本やブログかもしれません。あなたの背中を押して勇気づけてくれる存在、時には過去の自分の文章だったりするケースもあります。大学教授に海外の研究室を紹介してもらうということもあるかもしれません。

5.戸口の通過
主人公は日常世界を去って新しい世界-なじみのない文化慣習や価値観がある環境や領域へ行く。
→その結果異世界への旅、留学が始まります。最初は何もかも元いた場所と違って戸惑うことでしょう。しかしそれは多くの場合乗り越えられるものとして示されます。

6.試練、仲間、敵
主人公は新たな世界で試練を受け、それを乗り越える。
→留学中、まず最初の挑戦が待っています。これは後からやってくるものよりは簡単ですが、まだ新しい世界に戸惑っている主人公には大変なものです。大学の試験かもしれませんし、ボランティア活動中の嫌な思い出になるかもしれません。

7.危険な場所への接近
その世界での最大の挑戦を設定し、それに準備する。
→あなたは1つ目の試練を経て、より大きな課題を見つけます。「これこそがたびに来た理由だ」と思える程に学びたいもの、乗り越えたいもの、解決したい課題に対して全力で努力をします。仲間を募って一緒に頑張ったり、新しい技術を身に着けたり、先輩や上司などを仲間につける必要があります。

8.最大の試練
主人公は大きな困難に直面し、死に近い状態から這い上がる。
→留学のクライマックス、最大の山場です。留学計画時に見えていたものと違うかも知れませんが、とにかく一番大きなチャレンジです。負けてしまいそうになったり、あやうく命の危険まであることがあります。しかしそれは完璧にではないかもしれませんがある程度のレベルで乗り越えることに成功します。ここには失敗やリスクの可能性が常にあります。

9.報酬
試練を乗り越えたことで主人公は何かを手に入れる。
→完璧ではない場合もありますがその試練を乗り越え、課題を解決し、欲しいもののために頑張ったことで、主人公は新しい境地に至ります。何か重要な能力や人生訓を手に入れた状態になります。

10.帰路
得られたものを携えて、元いた場所に戻ろうとする。
→留学も終わりに近づき、とうとう元いた場所に戻るときが来ます。最初は戸惑いばかりだった場所も今では愛着が湧いていることも少なくないですが、基本的には元いた場所に戻ることになります(永住を選ぶ人もいます)。

11.復活
元いた世界に戻るための戸口で再び試練があり、それを克服する。
→自分が元いた場所に戻るとき、必ずいまと昔とでのギャップに驚き、周りからなんとなく嫌がられるようなこともありますが、兎にも角にも新しく生まれ変わった主人公はその場所で新しい姿を手に入れます。

12.宝を持っての帰還
主人公は宝を携えて元いた場所に戻り、当初抱えていた二極対立が解消されたりして新たな人格に変わる。また次の旅へと向かうことも多い。
→留学前にはできなかったことが出来るようになり、新しいものが見聞き出来るようになり、最初に持っていた悩みや疑問に対して自分なりの答えを持つことが出来るようになります。能力的にも人格的にもupdateされることで、新しい疑問や悩みや夢を持つことがあります。それはつまり、新しい挑戦の幕開けを意味しています。1に戻るのです。(留学、就職、休学して何かにチャレンジ、インターン、次の一歩はなんだってありえます)

まとめ

いかがでしょうか。これが物語理論の大枠に沿った留学計画の考え方です。もちろん事前には想定出来ない部分も多々ありますが、留学計画に盛り込むべきものはすべて含まれていると言っても過言ではありません。

1-5までの「日常世界への不満から、留学という道の発見、家族や自分の逡巡を乗り越え、仲間や師に背中を押されて留学を決める」というのは必然的に含まれるべき内容です。

6-9までの「幾つかの挑戦・山場を事前に設定してそれに挑戦し、自分が欲しかったものを手に入れる計画」はまさに留学中の活動ですから留学計画そのものだと言ってもよいでしょう。この山場、その山場だからこそ手に入れられるものはもちろんまだ不透明です。しかし、最初に合った不満や問題を解決出来るようなものは「恐らく」手に入れられるだろうと物語の読み手が認識できる程度には明瞭に示す必要があります。

10-12は、特に帰路や復活についてはイメージがしづらいかもしれませんが、これもとても重要です。あっちで学んできたことを「戻ってから活かせるような状況」を作っておく必要があります。留学でXを身に着けても、元いた場所でXが全く使えない状態なら物語は終わりを迎えられません。元いた場所を変えたり、あるいは日本の他の場所でXを活用してくれる組織や活動を知っていて、そこで自分の能力を振るう予定であることを示すことが重要です。

つまり、留学前から留学後の自分とその居場所、具体的な活動イメージを持っておくことが重要なのです。であるからこそ、人はあなたの留学を応援したくなるのです。「こんな挑戦を乗り越えて、こんな力を手に入れて、戻ってからも宝の持ち腐れにならずに十分にそれを活用してくれる人」にこそ留学して欲しいと思うものですから。

終わりに

魅力的な物語、ドラマや小説を作ることと、留学計画をブラッシュアップすることはとても良く似た作業を必要とする。キャラクターは現状に何か不満を持ち、外部へ飛び出して困難を乗り越え、何かを獲得して元いた場所に戻る。その時、最初にあった不満は獲得してきたナニカによって解消されるからです。

あなたの留学計画はどのように構成されていますか。どんな欠如を解消するために、どんな旅をしてくるつもりですか。そこに待ち受ける課題はどんなもので、それは誰と協力したりどんなトレーニングをしたら乗り越えられますか。それを乗り越えた先に得られる報酬はどんなもので、それは最初の欠如の解消に役に立つ形で説明できますか。

留学計画を物語のように語ってみること。これがあなたの留学計画をより魅力的なものにし、また人に伝わりやすくするための一番の方法なのです。

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連載「留学計画を、物語のように作ろう」
vol.1面白い物語には「テーマ」がある:留学計画の全ての始まりを話そう
vol.2あなたの物語(留学)に「求めてやまないもの」はあるか?
vol.3あなたの留学計画が退屈で平凡なのは「両極の対立」が含まれていないからだ
vol.4英雄流離譚(Hero's Journey)と留学計画:あなたは行きつ戻りつ何を得るのか?
vol.5あらゆる冒険譚に共通する要素を留学計画に盛り込んでみよう
vol.6内面の旅としての留学-何が出来るかではなく、何を良しとするかの変化を生もう
vol.7留学計画:あなたは「求めるもの」「動き」「障害」「選択」の組合せで出来ている
vol.8あなたの留学計画のログラインとシノプシスを教えてください
vol.9ボードビル(上演演目の順序決め)とあなたの留学計画の伝え方

 

また、このような留学計画の作り方や語り方について1000名以上のカウンセリングをしてきました。オンラインでの個別相談を希望の方はぜひこちらよりご連絡ください。